スプレッドシートを読み込ませて質問するだけ。Saiはまずファイル全体を読み込み、構造や欠損、不備を把握した上で、推測ではなくデータに基づいた回答を提示します。




6万行、40列のCSVファイルが送られてきたとします。ファイルを開くことはできても、中身を理解するのは困難です。列見出しは略語ばかりで意味が分からず、同じ内容と思われる列が複数あり、その中に知りたい答えが埋もれています。
従来の解決策はどれも一長一短です。ピボットテーブルを使うには、何を探すべきかを事前に知っておく必要があります。スクリプトを書くには、普段使い慣れていない環境へ切り替える必要があり、一度きりの質問には手間がかかりすぎます。かといって、ただスクロールして眺めるのは分析とは言えません。また、ファイルをチャットツールに貼り付けても、もっともらしい回答が返ってくるだけで検証ができません。意思決定のための数値において、検証できない回答は「回答なし」よりも危険です。
スプレッドシート分析で最も多い失敗は、計算ミスではありません。問題のあるデータに対して、正しい計算を行ってしまうことです。例えば、エクスポートの重複により行数が倍になっていたり、通貨列に記号の有無が混在していて半分がテキスト扱いになっていたり、日付形式がバラバラでフィルタリングから漏れていたりといったケースです。
これらは珍しいことではなく、実際のファイルでは日常茶飯事です。そのため、Saiは回答を出す前にまず診断を行います。各列の内容、データの完全性、不整合の有無、そしてそのデータセットで何が分析可能なのかを明確にします。特に最後は重要です。日付列がないためにトレンド分析ができないことが最初の1分で分かれば、分析に時間を費やす前に方針を切り替えられるからです。
データの全体像を把握したら、あとは会話するように進められます。合計値やセグメント別の内訳、外れ値、列同士の相関、特定の条件を満たす行の抽出など、何でも聞いてください。文脈を保持しているため、毎回クエリを書き直す必要はなく、会話の延長で深掘りや切り口の変更が可能です。
Saiの回答が信頼できる理由は2つの制約にあります。すべての回答はファイル内のデータに基づき、モデルの推測は一切排除されます。また、データから答えを導き出せない場合は、正直にその旨を伝えます。分析ツールにおいて、推測を事実のように提示することは最も避けるべき行為です。なぜなら、それは本物のデータと見分けがつかないからです。
診断フェーズでは問題点を報告するだけで、自動修正は行いません。これは意図的な設計です。自動的なクリーンアップは、重要なデータが意図せず消える原因になります。例えば、正当な重複取引が削除されたり、空欄がデフォルト値で埋められて実データと区別がつかなくなったり、列の型変換でデータが切り捨てられたりするリスクがあるからです。発見された問題を確認し、どう対処するかをユーザーが判断する。修正はあくまで明示的な指示に基づいて行い、元のデータはそのまま保持されます。
どちらの形式にも対応しています。実務上の違いは、ExcelブックにはCSVにはない構造(複数のシート、数式、書式、人間が見るための結合セルなど)が含まれている点です。ブック内に複数のシートがある場合は、対象のタブを指定してください。数式が含まれている場合は、計算結果の値を読み取るため、シート上で見えている通りのデータが分析対象となります。
CSVファイルでよくある問題は、区切り文字とエンコーディングです。ヨーロッパのシステムからエクスポートされたファイルでカンマの代わりにセミコロンが使われていたり、文字化けが発生したりすることがあります。これらは特に指定しなくても自動的に処理されますが、ファイルを直接開いた際に破損しているように見える原因となるため、知っておくと役立ちます。
データセットの目的を伝えると、AIはそれに合わせて読み込みを行います。例えば、インポート前のデータ品質チェックと、取締役会報告用のトレンド分析では、同じファイルでも要約の内容が変わります。重要な列がわかっている場合は、その名前を指定することで調査の手間を省けます。定期的に受け取るファイルについては、毎回同じ診断を依頼してください。Saiが前回のバージョンからの変更点を指摘するため、上流工程でのエクスポートの問題をレポート作成前に発見できます。